相談したいことがまとまっていなくても大丈夫!-話しながら一緒に見つけていく-


YUTA
コーチ・トレーナー

「コーチングを受けてみたい。でも、何を相談したらいいんだろう」
初めてコーチングを受けるなら、そんなふうに迷うこともあると思います。以前の私は、セッションの前に「話したいテーマを用意してきてください」とお願いすることもありました。
でも、実際にいろいろな方とお話ししていると、最初からテーマが決まっている人ばかりではないんですよね。話しているうちに「あ、今日はこのことを話したいかも」とテーマが見つかる方もいます。
だから今は、テーマを事前に決めてもいいし、当日に一緒に探してもいいと思っています。悩みをきれいに整理してから申し込む必要もありません。
ある意味、気軽に“手ぶら”で体験セッションに来てもらってもいいんです。
では実際に、「何を話せばいいかわからない」というところから、どんなふうにセッションが始まるのか。これまでの経験を交えながらお話ししてみます。
「何を話せばいい?」から始まることもある

コーチングを初めて受ける方から、「そもそも、何を話したらいいのかわからないんです」と言われることがあります。
そんなときは、その場で話しながらテーマを探していきます。最初の数分で聞くことがあるのは、最近あった良かったことや、新しく始めたことです。
「最近、何か良かったことはありましたか?」 「何か新しく始めたことはありますか?」
そんなところから話していると、少しずつ会話が広がっていくんですよね。
実際、犬の散歩をしていて楽しかった話もあれば、ライブに行った話もありました。逆に、「どうしてコーチングを学んでいるんですか?」と質問されて、いつの間にか私がインタビューされる側になっていたこともあります(笑)。
でも、私はそれでもいいと思っています。セッションはクライアントさんのための時間ですから、最初から立派な相談テーマがなくてもいいんです。
何気ない話をしていたら仕事のことが出てきたり、家族や人間関係のことが気になったりする。そこから「今日はこの話をしてみようかな」とテーマが見えてくることもあります。
「モヤモヤ」のレシピを一緒に探してみる

「なんとなくモヤモヤするんです」
そんなところから始まることもあります。でも正直、「モヤモヤ」と聞いただけでは私にもその正体はわかりません。
感情的なものなのか、人間関係なのか。いつ頃からそう感じているのか。少しずつ話を聞きながら、一緒に整理していきます。
そんなとき、私が学んできた実践心理学を参考に、ちょっと変わった聞き方をすることがあります。
「もし、そのモヤモヤに“レシピ”があるとしたら、何が入っていますか?」
カレーを作るなら、ルーやじゃがいも、にんじんなど、いくつかの材料がありますよね。それと同じように、一つの「モヤモヤ」の中にも、いろいろな感情や出来事が混ざっていることがあります。
仕事のことが気になっているのかもしれないし、人間関係で引っかかっていることがあるのかもしれません。「本当はこうしたいけれど、不安もある」ということもあります。
そんなふうに一つずつ言葉にしていくと、「モヤモヤ」でひとまとめになっていたものが、少しずつ見えてくることがあります。
そこで気になるものが見つかったら、「今日は、このことをもう少し話してみますか?」と聞いてみます。でも、あまり乗り気ではなさそうなら、別の話にしてもいい。
せっかく見つけたテーマでも、必ず深掘りしなければいけないわけではありません。
また、こうした方法を使うときには、「こんな聞き方がありますよ」と先にお伝えするようにしています。初対面なら、どこまで話していいのか迷うこともあるでしょうし、私自身もどこまで踏み込んでいいのか確認しながら進めたいからです。
沈黙したら、静かに深呼吸して待ってみる

質問をしたあと、クライアントさんが黙ることもあります。そんなとき、今の私は静かに深呼吸して、少し待ちます。
表情を見て「今、考えているのかな」と感じたら、こちらから次の質問を重ねずに待つこともあります。一方で、クライアントさんがこちらを見ているようなら、「今、何か思ったことや感じたことはありましたか?」と声をかけてみます。
ただ、これも最初からうまくできていたわけではありません。
以前、「相手の時間なんだから、急かさず待とう」と思って黙っていたことがありました。ところが、実はクライアントさんも私からの声かけを待っていたんです。
お互いに待っていたんですね(笑)。
「あれ、いつの間にか私のターンだったんだ」と気づいたこともありました。
そんな経験もあって、今は「沈黙したら、とにかく待つ」と決めてはいません。少し困っているように感じたら、「今回は、この話を私にするのはやめておきますか?」と確認することもあります。
そこで話すのをやめてもいいし、逆に、そこから勇気を持って話してくれる方もいます。
そういうとき、私だって内心はドキドキしています。「自分は、この人の助けになれるだろうか」と考えますし、勇気を持って話してくれたことには、自分なりに応えたいと思います。
私は、何でもすぐに見抜けるコーチではありません。だからこそ、話してくれた言葉や表情を見ながら、決めつけずに確認するようにしています。
コーチだから相手の気持ちが全部わかるわけではないんですよね。表情や声、沈黙から感じたことをこちらで決めつけず、必要なところでは本人に確認するようにしています。
話している途中で、テーマが変わってもいい

セッションでは、最初とは違う話が出てくることもあります。
仕事について話していたはずなのに、いつの間にか人間関係の話になっていたり、そこから「実は新しい資格にも挑戦してみたくて」と別の話が出てきたり。
そんなふうに、話の中で「ここが分岐点かな」と感じることがあります。
そのときは、まず最初に決めたテーマを確認してから、「ここまで話してみて、何か感じたことや気づいたことはありますか?」と聞いてみます。
そこで新しく話したいことが見えてきたら、「それを踏まえて、こちらを新しいテーマにしてみますか?」と確認します。本人が「こっちを話したい」となれば、残りの時間を新しいテーマに使うこともあります。
話してみたからこそ、「あれ、本当に考えたかったのはこっちだったのかも」と気づくこともあるんですよね。
だから、最初に決めたテーマに無理やり戻すよりも、節目で「今、この時間を何に使いたいか」を一緒に確認するようにしています。
答えが出なかった日は、私も考える

もちろん、一度のセッションで毎回答えが出るわけではありません。「今日は答えまで出なかったな」と感じる日もあります。
特に駆け出しの頃は、「今日の時間は、クライアントさんの役に立てたのかな」と不安になることもありました。何がその人のためになるのか、自分でもまだピンとこない。手応えを感じられないこともあったんです。
以前、私が伝えた言葉に、クライアントさんが少しムッとされたことがあります。
そのときは、「ありゃ、怒らせてしまったかな……」と思いました。
ところが、その方は2回目のセッションにも来てくれたんです。そして後日、セッションでの言葉をきっかけに自分でも考える時間が生まれ、自分らしい目標を達成できたと連絡をくれました。
あのときは嬉しかったですね。それと同時に、「セッションが終わった瞬間の手応えだけでは、わからないこともあるんだな」と感じました。
クライアントさんの変化って、セッションの外で起きることもあると思うんです。
家に帰ってから会話を思い出したり、翌日になって「自分はどうしたいんだろう」と考えたり。普段と同じ日常でも、少し感じ方が変わることもあります。
だから今は、その場ですべての答えを出すことだけが大切なのではないと思っています。その日に答えが見つからなくても、自分について考えるきっかけを持ち帰る。それが後から何かにつながることもあります。
もちろん、私自身も「今日はうまくできなかったな」と思えば振り返ります。ノートに書き出して、「自分はなぜそう感じたんだろう」「次はどう関わってみよう」と考えるんです。
セッションの中で自分の弱みが見つかったなら、次に向けて改善していく。私自身も、そうやって経験を積んでいる途中です。
“手ぶら”から話し始めてもいい

コーチングを始めた頃の私は、「話したいテーマを用意してもらおう」と考えていました。でも、いろいろな方と話してきて、今はずいぶん考え方が変わりました。
最初からテーマが決まっている人もいれば、話しながら見えてくる人もいます。途中で話したいことが変わることもありますし、その日に答えが出ないこともあります。
だから、「こんなことを話していいのかな」と身構えすぎなくて大丈夫です。
もし初めてコーチングを受けるときに何を相談しようか迷ったら、最近印象に残った出来事を一つ思い出してみるくらいでもいいと思います。
そこから話しているうちに、「あ、自分はこれが気になっていたんだ」と見えてくるかもしれません。
私も毎回、「今日はどんな話になるかな」と少しドキドキしながらセッションに入っています。
うまく話すことよりも、まずは今話せるところから。気軽に“手ぶら”で来てもらってもいいんです。



